「おひとり様」の終活
人が亡くなったら、遺体の引き取りがまず問題になる。その後病院への支払や、遺品の処分、葬儀、相続等、死後の事務処理事項は盛りだくさんだ。これらは親族がいれば親族がやってくれるだろう。ただ、「おひとり様」の場合誰がやってくれるのか。生前何も手当てがなければ誰もやってくれないのは明らかだ。という心配があるので、「おひとり様」を対象とした終活セミナーなどをやると盛況のようだ。また、自分の死後の事務をやってくれる契約である「死後事務委任」への関心が高まっている。生前も見守りや財産管理などをやってくれる、ホームロイヤー契約のオプションとして契約することが多いようだ。ニーズも関心も今後は高まる一方だろう。専門家にとってはビジネスチャンスでもある。
他方、生前にももちろん問題はある。高齢者には財産が偏在しており、判断能力の衰えから経済犯罪の被害に遭うことが多発している。経済的な保護は待ったなしである。この点銀行によっては、引出しに高齢預金者に加え親族や士業の確認も必要な引出制限預金を導入したり、民事信託の利用を勧めたりしている。もちろん、後見やホームロイヤーの利用も考慮されるべきだ。もっとも、これらの世間での認知は十分ではない。うかうかすると、高齢独居者急増=経済犯罪急増の社会構図に陥りかねない。