意外に知らない「得する法人税」-2-【中小企業投資促進税制】
意外に知らない「得する法人税」-2-
中小企業投資促進税制
意外に知らない「得する法人税」の第2回目は、租税特別措置法42条の6に規定される「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除」、いわゆる「中小企業投資促進税制」です。
この制度は、中小企業者等が新品の機械等を取得した場合に、特別償却又は税額控除を行うことが出来るというものです。
新品の機械等を取得して事業に使う予定のある法人の経営者にはぜひ知っておいて欲しい制度です。
この制度により、年間で約2,500億円もの節税効果が見込まれるとされています。
それでは、この制度がいったいどのようなもので、どのような節税効果があるのか見ていきましょう。
1 制度の概要
この制度は、中小企業者などが平成10年6月1日から平成24年3月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に新品の機械及び装置などを取得し又は製作して国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却又は税額控除を認めるものです。
2 適用対象法人
この制度の適用対象法人は、青色申告法人である次の法人です。
(1)特別償却が受けられるのは、中小企業者又は農業協同組合等です。
そして、中小企業者とは次に掲げる法人をいいます。
ア 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(ただし、大規模法人の子会社は除かれます)
イ 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
(2)税額控除が受けられるのは、上記の中小企業者のうち資本金の額若しくは出資金の額が3,000万円以下の法人又は農業協同組合等です。
3 適用対象年度
この制度の適用対象事業年度は、指定期間内に適用対象資産を取得し又は製作して指定事業の用に供した場合(すなわち、「稼働」することが必要です)におけるその指定事業の用に供した日を含む事業年度です。
ただし、この事業年度であっても、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は除きます。
4 適用対象資産
この制度の対象となる資産は次の(1)から(3)のものですが、「新品」でなくてはなりません。そして、指定期間内に取得し又は製作して指定事業の用に供したものです。ただし、内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人以外の法人が貸付け用に供する資産は、この制度の対象となる資産には該当しません。
(1)機械及び装置(製品を製造する設備等)で1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
(2)「電子計算機」及び「インターネットに接続されたデジタル複合機」で120万円以上のもの
(3)ソフトウェア(複写して販売するための原本、開発研究用のもの又はサーバー用のオペレーティングシステムなどは除きます。)で70万円以上のもの
(4)車両及び運搬具のうち一定の普通自動車で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの
(5)内航海運業の用に供される船舶
5 指定事業
この制度の適用対象となる指定事業はほぼ全業種にわたりますが、次に該当するものは指定事業から除かれます。
(1)料理店業その他の飲食店のうち、料亭・バー・キャバレー・ナイトクラブその他これらに類する事業
(2)サービス業のうち、物品賃貸業及び娯楽業(映画業を除く)
(3)性風俗関連特殊営業
6 償却限度額
償却限度額は、基準取得価額の30%相当額の特別償却限度額を普通償却限度額に加えた金額です。
基準取得価額とは、船舶についてはその取得価額に75%を乗じた金額をいい、その他の資産についてはその取得価額をいいます。
7 税額控除限度額
税額控除限度額は、基準取得価額の7%相当額です。ただし、その税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合には、控除を受ける金額は、その20%相当額が限度となります。
8 税額控除限度超過額の繰越し
税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額について1年間の繰越しが認められます。
9 その他注意事項
特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
また、税額控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
10 せっかくの特典です、法律に則って有効に使いましょう
中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除について概略を解説させていただきました。
通常の償却費に加えて「30%の特別償却費を加算」出来るか、若しくは「取得価額の7%の税額控除(最高で法人税額の20%まで)」で節約することが出来ることがお分かりいただけたでしょうか。
上記に書かせていただいた他、いくつか注意点はありますが、せっかく国が設けてくれた特典です。法律に則って有効に使いましょう。
税務部 高田貴史
※平成23年6月30日現在の法令等によります。税制改正等で条件が変わることがありますので、最新の情報に照らしてください。
※本稿は一般的な情報を提供するものであり、法的助言を目的とするものではありません。個別の事案については、当該案件の個別の状況に応じて、税理士等専門家の助言を求めて頂く必要があります。なお、文中の見解は筆者の個人的見解であり、税務官庁等の見解とは異なることも有り得ます。したがって、本見解に沿って行動した場合における法律上の安全性を保証するものではございません。
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