連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク 第21回 知っている人が得をする
知っている人が得をする
Q 当社では,節電対策の一環として、社屋の蛍光灯を全てLED照明に取り替えようと思っています。社屋全体ですので、かなりの出費になる予定です。今年度の税制改正で、グリーン投資減税の対象設備が拡大したと聞きました。我が社は、青色申告をしている中小企業ですが、何かメリットはあるのでしょうか?
A 御社が設置されるLED照明が、グリーン投資減税の対象設備要件を満たしており、補助金等により取得等したものでない場合、30%の特別償却または7%の税額控除を受けることができる可能性があります。
(解説)
いわゆるグリーン投資減税とは、エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却または法人税額の特別控除制度を受けることができる、環境関連投資促進税制をいいます。青色申告書を提出する個人及び法人が、対象設備を取得し、かつ1年以内に事業の用に供した場合に、取得価額の30%特別償却(一部の対象設備については即時償却)または7%税額控除(中小企業者等のみ)のいずれかを選択し税制優遇が受けられる制度です。
この制度は、平成23年度税制改正において創設され、平成25年度税制改正により、適用期限が2年延長されるとともに、対象設備の拡充が行われ、更に身近な制度となりました。グリーン投資減税の適用実績は、平成23年6月1日~平成24年3月31日の期間では、適用件数は特別償却106件(適用金額6億円)、税額控除166件(適用金額1億円)となっています(財務省「租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」より)。今般、対象設備が拡充されたことにより、利用件数は増加することでしょう。
お尋ねのLED照明については、まさに、平成25年度税制改正により制度の使い勝手がよくなった部分です。今回の税制改正前でも、LED照明はグリーン投資減税の対象設備ではありましたが、LED照明(高効率照明設備)についてこの制度を適用するためには、高断熱窓設備、高効率空気調和設備、高効率機械換気設備を含め4設備を同時設置することが要件となっていました。ところが、平成25年度税制改正により、LED照明単独であっても、グリーン投資減税の適用が可能となりました。ただし、LED照明だからといって全てが対象となるわけではありません。日本工業規格で定められた一定のものであって、建物の階層ごとに90%以上の数を同時に設置することなどが必要となります。(※対象となる設備要件の詳細については財務省告示第99号(平成25年3月30日告示)でご確認ください。)対象設備に該当することは、メーカーが設備仕様等を証明する証明書を作成し、関係事業者団体が証明内容を点検押印した上でユーザーに送付するという制度が設けられており、納税者は、この証明書を確定申告書に添付するというかたちで、制度をスムーズに利用することもできます。
なお、平成25年度税制改正により、国や地方公共団体から交付を受けた補助金や給付金等をもって取得等した対象設備は、グリーン投資減税が適用できなくなりました。条文では、補助金等の交付を受けた法人が、当該補助金等をもって取得等した対象設備等については「適用しない」とされており、対象設備が適用対象から除外されていますので、当該設備の取得価額から補助金等を控除した上でグリーン投資減税を適用することはできないと考えらえます(租税特別措置法第42条の5第9項)。
以上、グリーン投資減税の一部についてお伝えしました。対象となる事業者や対象設備、ご利用方法等につきましては、他にもたくさんの注意点があります。詳しくは、資源エネルギー庁HPのグリーン投資減税のページ、及び、租税特別措置法第42条の5、同第68条の10等でご確認ください。
鳥飼総合法律事務所 パラリーガル 高瀬 貴子
※ 本記事の内容は、2013年6月現在の法令等に基づいています。
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