リスクコンシェルジュ~事業承継リスク ~会社・経営資源・争族・キャッシュ
事業承継リスク~会社・経営資源・争族・キャッシュ
事業承継は、多面的で、大きなリスクを伴うものです。このリスクを十分に理解していないために、多くの不幸が起こっています。どんなに、多面的で、大きなリスクでも、それを理解して、早めに本気で取り組めば、ほとんどの不幸は取り除けます。事業承継のリスク全体構造を理解し、対策をとれば、ほとんどのリスクは解消します。
事業承継の全体構造(優先順位の高いものからの構造)
1.会社自体のリスク~会社は永続し、成長すべき存在
事業承継では、この点が忘れられ、事業承継対策は成功したのに、会社が衰退するという本質的なリスクがあります。そのため、事業承継対策は、会社の本質に基づく長期的視点が必要不可欠です。
2.経営のリスク~経営資源は、ヒト・モノ・カネ
事業承継では、ヒト・モノ・カネが会社を成長させる経営資源であることを忘れ、事業承継対策を優先するために経営資源を生かせないリスクがあります。たとえば、ヒトなら、経営者の資質、従業員の士気が重要視された対応が必要です。この点を十分に配慮した対応が必要となります。
3.争族のリスク~争いは、経営の敵
事業承継では、後継者を誰にするか、財産の分割などで、親族間での争いが生じがちです。その争いは不毛であり、関係者に心の傷を負わせる源となります。これを避けるために、予め方針を定め、しっかりした順序を踏めば、醜い争いを相当程度防止できます。
4.キャッシュ
事業承継では、納税の問題などがあり、キャッシュに関して大きなリスクがあります。そのために、キャッシュ対策が重要となり、貸借対照表を中心にした財務的視点が重要となります。
5.事業承継対策は、会社・経営を中核として、法務・税務・財務という多角的視点から、総合的に行うべきものです。税務的視点だけの対応は将来にリスクが顕在化します。
鳥飼総合法律事務所代表弁護士 鳥飼 重和
関連するコラム
-
2024.09.12
奈良 正哉
相続には信託
相続預金のつなぎ止めのために、地域金融機関が本体による信託ビジネス参入を図る動きが見える。人間が絶…
-
2024.09.03
奈良 正哉
戸籍謄本の電子取得
戸籍謄本が電子手続きで取得できるようになるようだ(8月22日日経)。戸籍制度は日本とその影響下にあ…
-
2024.07.31
奈良 正哉
超高級老人ホーム
三井不動産は、入居金最高額5億円を超える超高級老人ホームを運営する(7月30日日経)。「問い合わせ…
-
2024.07.29
奈良 正哉
減らない高齢者の金融資産
高齢者の金融資産は60-65歳の平均で1,800万円。これが85歳でもその減少幅は1割台だそうだ(…