リスクコンシェルジュ~事業承継リスク 第1回 はじめに
1.はじめに
新聞やニュース等で、「事業承継」という言葉を耳にしたことがあると思います。一般的には、現在の経営者から後継者へ事業を引き継ぐことを「事業承継」といいますが、なぜ「今」事業承継が話題に上るのでしょうか。
|
その主な理由は「経営者の高齢化」と「親族内承継の減少」にあります。以下のデータをご覧ください。
|
|
この二つのデータからは、社長の平均年齢が着実に上がってきていることと、それにもかかわらず社長の交代はあまり行われていないことがお分かり頂けるかと思います。
では次に、少し古いデータとなってしまいますがこちらのデータをご覧ください。
こちらのデータからは、親族が後継者となるケースがどんどん少なくなっていることが分かります。
これらのデータを合わせると、経営者の平均年齢は60歳くらいでありながら、交代率は2.5%ほどしかなく、後継者の約半分近くは親族ではない、ということが読み取れます。
相対的に言って、経営者が若ければそれだけ、不慮の事態が生じることも少なく、経営の引継ぎの問題を当面考えないという選択もあり得るところでしょう。また、子息・子女が後を継ぐことが決まっているのであれば、少なくとも後継者選びに迷うことはありません。しかし現状はその真逆で、経営者の交代時期が迫っているにもかかわらず、確実な後継者もいない、というのが大半の企業の実情なのです。
こういった状況にあるからこそ、「今」事業承継が話題となっているのです。
2.事業承継には何が必要なのか
では、事業承継のためには何をすればよいのでしょうか。
会社は経営がしっかりしていれば、永続的に存続していくことができます。しかし、経営者は人である以上、いずれ必ず交代する時期がやってきます。経営者の交代のためには様々な手続きが必要であったり、税金を納めなければならなくなります。
そのため、会社の経営に影響を及ぼすことなく、スムーズな経営者の交代を行うためには、法律知識と税務知識が重要になってきます。十分な知識を持って準備することが必要です。
本連載では、法律・税務の融合を強みの一つとしております当事務所で蓄積されている種々のノウハウの中から、法律面を中心としたトピックを紹介させて頂きます。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 小西 功朗
※ 本記事の内容は、2012年8月現在の法令等に基づいています。
関連するコラム
-
2024.06.10
奈良 正哉
おひとり様の死後事務
おひとり様の死後事務委任のニーズが高まっている(5月25日日経参照)。すでにおひとり様はもちろん、…
-
2024.06.07
奈良 正哉
最後のお勤めとして調停員はいかが
先日前職場のOB会に出た。企業年金も分厚い世代だから老後生活としては「勝ち組」の方々か。 第二の…
-
2024.06.04
奈良 正哉
215歳の失踪宣告
相続で一番困るのが相続人の探索だ。相続人が揃わなければ遺産分割ができない。相続人が誰かは戸籍を辿れ…
-
2024.05.13
奈良 正哉
介護職不足
休日の朝7時、近所のご老人の突然の訪問を受けた。 認知症患者が高齢者の7人に1人になるとの試算が…