税務訴訟 課税実務とルール
課税実務とルール
日本国憲法は、課税にルールが必要であることを要求している。「租税法律主義」という法律に根拠なしに課税できないというルールを定めている。この考え方は近代憲法の原点である。
近代憲法は、国王の恣意的な課税に対し、血と涙による革命を通して、課税には国民代表の意思を示す法律の根拠が必要であると規定した。民主主義の考え方である。これは同時に、課税が権力により乱用されないことを保障したものである。自由主義の考え方がここにある。
ところが、現代日本の課税実務は、一部ではあっても、法律というルールに基づく課税ではなく、課税庁という権力の恣意的な裁量による課税が行われている。このホームページで取り上げているストックオプション課税がその典型である。
私どもは、課税実務の全てを否定しようとはしていない。大方は、法律を根拠にした課税が行なわれていることを認めているし、その課税実務に対して、国民として感謝している。
しかし、一部ではあっても、課税実務に恣意的ともいうべきものがある以上は無視し得ないのである。
これを無視することは、多くの人々の貴重な生命と引き換えに、人類が獲得した近代革命・近代憲法の否定につながるものであり、歴史への冒涜でしかない。我々日本国民は、我々の子孫に国際社会に顔向けできない汚点を残してはならないから、世界史への冒涜を除去すべき責任がある。
最近の日本人は腰が抜けていて、正しいことよりも、自分の目先の利益だけを考えることが多くなっている。誤っている課税であるのを知りながら、「長いものには巻かれるしかない」と言って正しいことを無視する者が多い。
この日本人の勇気を忘れたことが、「失われた10年」の根源ではないかと思う。改革が必要なことが分かっていても、現実の利益を手離さないために、日本の国益・将来の日本人への責任を忘れてしまったのである。
権利ばかり主張して、義務・責任・使命を忘れてしまったのである。これが現代日本の危機の大本である。人間教育から日本は始めなければならないのではないか。つまりは、明治の原点に回帰することである。我々の行っている税務訴訟も明治の原点に立ち返る行動に他ならない。
(文責 鳥飼重和)
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