平成13年株主総会 これからの株主総会
今まで日本企業は株主・投資家を重視するより、従業員を重視してきた。そのため、株主総会は商法の強制からやむを得ずするものであると考えた。しかも、株主総会に来るのは特殊株主であり、企業にとって好ましくないと考える存在が中心であった。
その結果、株主総会は会社が主導権を握り、なるべく短い時間で終わることを良いことと考えた。そのための方法が開発されてきた。ここでの経営トップである議長の役割は、議事整理を中心とする方向になる。
極端に言えば、議長は会社の総務担当・弁護士の操り人形にすぎなかった。そのため、株主総会は議長の個性は無視されてきたとも言える。答弁担当の役員の答弁も、会社にとって都合が悪い事項に関しては、ほとんど会社情報を提供することを要求していない商法の説明義務の範囲でしか説明しない傾向にあった。
しかし、これからの株主総会は、公開企業においては、企業経営が資本市場中心に変わることから、今までのやり方は通用しない場合が多くなる。ある意味では、株主総会運営に関する今までの常識が180度変わることも起きてくる。
その意味では、株主総会の前例はすべてにわたって、1つ1つについて、このままでよいかについて検討する必要がでてきた。一般株主・機関投資家が株主総会に関心をもつ程度の高い企業は、資本市場中心に適応した株主総会を作り上げてゆく必要がある。
それに反して、いまだに特殊株主の活動が活発な企業は、一般株主が発言しやすい株主総会を実現するために、従来開発されたやり方で株主総会を運営することが必要となる。株主総会の運営メニューが増えたともいえる。
では、これからの株主総会の運営の傾向はどうなるのであろうか。このHPでは、この傾向を順次述べていくことになる。今回は、資本市場中心の株主総会の概略を述べる。
資本市場中心とは、企業経営の基本視座を株主・投資家に置くことである。分かりやすく言えば、株主利益を最重要視した経営をすることである。株主利益は端的に表現すれば「株価」に尽きる。したがって、今後の経営者は、株価の引き上げを重視した経営をすることになる。
そのために、株価に重大な影響を及ぼすものである、企業の格付け、業績、キャッシュフロー、中期計画、経営改革の方向性、選択と集中の実効性、財務指標の方向性、株主に対する利益還元策、経営者の実績・手腕・人間的魅力等が重視されることになる。
しかも、企業に関する情報は、会計ビッグバンの影響により、企業の実態を明らかにし、経営者の能力もあからさまにする等により豊富となる。さらに、インターネットの発達で、企業情報は、一般の人に容易に手に入る。この豊富な情報を分析して発表するアナリストも増えている。
このように豊富な情報を手にした株主は経営に関心を高めることは必至である。この結果、今まで株主総会に出席しなかった一般株主が株主総会に出席するようになる。このとき、一般株主が本当に出席する目的は何か。
この目的の中心は、企業の将来の株価がどうなるかであり、そのためには、経営トップである議長の経営に対する姿勢・人間としての信頼性の程度に重大な関心を持つことは明らかである。言い換えれば、株主は議長の姿勢を見るために株主総会に来るのである。
長文になったので、今回はここまでとし、次回に続きを述べたい。参考のために、私が講師をする株主総会セミナーの主要なものを次に示す。
1. 商事法務研究会主催
「一般株主中心の株主総会成功のポイント(具体的質問を中心に)」
このセミナーは、日比谷パーク法律事務所の菊池伸弁護士とのジョイント。
開催日時 平成13年5月10日(水)
PM1:00~4:00
会 場 東京の商事法務研究会 5階会議室
(中央区八丁堀2-27-10)
受 講 料 27,300円
問 合 先 商亊法務研究会
TEL:03-3552-4948・4949
2. 産業経理協会主催
(1)「株主総会における財務会計事項に関する質問とそれに対する対応」
開催日時 平成13年5月28日(月)
PM1:30~5:00
会 場 KDDIホール
受 講 料 (予定)24,150円
問 合 先 産業経理協会
TEL:03-3253-0361
(2)「議長の株主総会運営対策」
参加資格 社長・会長・取締役
開催日時 平成13年6月1日(金)
PM2:00~5:00
会 場 経団連会館
受 講 料 (予定)24,150円
問 合 先 産業経理協会
TEL:03-3253-0361
(文責 鳥飼重和)
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