平成13年株主総会 議長の自覚すべきこと

 株主総会の議長が、自覚すべき第1は、議長はオールマイティであることである。商法の規定を読めば、議長が株主総会においては、オールマイティであることは明らかである。
  議長がこのことを自覚することから、株主総会が始まるのである。

  商法237条の4第2項、第3項の次のように定めている。
「議長は総会の秩序を維持し、議事を整理す」
「議長はその命に従わざる者その他総会の秩序を乱す者を退場せしむることを得」

   上記の条文を読めば、議長が総会の議事整理・秩序維持においてオールマイティの権限を持つことがはっきり分かる。この議長権限を自覚する議長は、議長を無視して発言を続けられる株主など存在し得ないことが分かるはずである。

 換言すれば、議長が総会を混乱させようとする株主を恐れるのではなく、総会を混乱させようとする株主が議長権限に目覚めた議長を恐れるようになる。これが商法の予定しているところである。

 議長が自覚すべき第2は、議長自身が投資情報であることである。株主がわざわざ総会場に交通費を自弁して出かけてくるのは、財務諸表等の客観的な投資情報に生命を与えるのが、議長と言う経営者の人間性・経営手腕等だからである。

 換言すれば、議長の人間的側面が、投資情報なのである。業績を上げ、株価・格付けを引き上げることができるのは中期計画そのものではなく、その中期計画を策定し・実行する経営者の人間的側面だからである。

 したがって、議長は議事整理だけでなく、株主質問に対して、会社の基本方針等について、自分の言葉で説明すことが望ましい。その説明に議長の姿勢・人間性が出るからである。その意味からは、IR型総会では、株主質問が出るように工夫が必要となる。

 株主質問が出ない株主総会は、IRの面からいえば、あんこの入っていない大福のようなものになる。IR総会に必要な重要な投資情報が欠けているからである。今後は、株主質問がないときは、議長がシナリオから目を離し、自分の言葉で会社の経営方針・自身の経営理念等を話すことも検討すべきであろう。

(文責 鳥飼重和)

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鳥飼 重和

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