平成13年株主総会 機関投資家が声を出し始めた
最近の新聞報道で、地方公務員共済組合連合会(東京)が投資先の企業の業績向上や経営の透明性を促すために、株主総会での議決権行使に関して「ものを言う」ことが明らかになった。
このことは、日本にも経営者に注文をつける機関投資家が出現したことになる。このような機関投資家がさらに増えつづけるのは確実である。日本の企業経営者に対する株主の監視が常態化するのは時間の問題である。
経営者に対する株主による経営監視は、従来は、株式の相互持合が過半数を超えていたことから、ほとんど有名無実化していた。したがって、日本企業の経営者のほとんどは、株主、とくに、機関投資家の声を真剣に聞く必要はなかった。
ところが、株価低迷により海外投資家の買支えを歓迎する空気と時価会計導入による相互持合株式の保有のリスクとから、株式の相互持合が解消傾向に入った。今年は、上場企業の安定株主比率は、平均で50%を割っている。相互持合解消の傾向は、さらに加速されることから、安定株主比率はさらに低下する。
そうなると、相互持合株式の強烈な包囲網のために、声を上げなかった投資家としての株主が声を上げ始めるのは自然なことである。従来の日本企業の経営者は、株主利益よりは従業員利益を重視したために、企業は利益を上げるよりも、過剰雇用と巨額の退職給付債務を抱えてしまった。このことに対する投資家としての株主の見る目は厳しい。
安定株主が不在になれば、上記のような厳しい目で投資家としての株主の声が経営陣に飛ばされるようになる。その意味で、経営者の手腕が真に問われるのはこれからであるといえよう。経営者は従業員以上に投資家を意識し、投資家に支持される経営とは何かを考える必要がある。
(文責 鳥飼重和)
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