平成15年株主総会 第5回 投資家対応型株主総会
第5回 投資家対応型株主総会
特殊株主等特別な株主が大勢来るか、不祥事等会社に特殊な事情がある場合を除いては、投資家対応型株主総会の運営をすべきであろう。
投資化対応型株主総会とは、投資家の立場に立って株主総会の運営を考えるのであり、換言すれば、IR型株主総会のことである。
IRはPRとは異なる。PRは会社あるいは商品等の良いところを社会に訴える行為である。
それに対して、IRは、会社の実態を一貫した姿勢で示すものであり、会社の実態であれば会社の良い情報はもちろん、会社についての悪い情報も示すものである。
そういう意味では、IRは会社の実態を投資家に正直に伝達する会社あるいは経営者の姿勢を明確にし、その姿勢に対しての投資家の信頼を獲得する活動というべきものである。
したがって、業績の良いときは経営トップがアナリスト説明会等に出席するが、業績が悪いときには経営トップがそれらの会合に欠席するというのは、IRではないことになる。
反対に、アナリスト等の質問で経営者として答えたくないいやな質問であっても、逃げないで堂々と回答する姿勢が本来的なIRなのである。
このIRの姿勢を株主総会で一貫するのが、投資家対応型株主総会である。今後の株主総会は、企業実態を積極的に明らかにする会社あるいは経営者の姿勢を一貫させる重要な場になる。
株主総会に通常出席するのは、一般株主であるが、一般株主はなぜ株主総会に出席するのか、を考える必要がある。一般株主は、株主総会で重要な経営情報に接しようとして、株主総会に出席している。
その経営情報は、議長である経営トップの人柄・経営者としての能力・経営に対する姿勢等である。同時に、他の経営者である答弁担当役員の人間性・能力・態度等も経営情報として重要視される。
この経営情報は、議長・答弁担当役員の株主の質問に対する回答における態度・姿勢・回答内容等に現れる。その意味では、投資家対応型株主総会では、株主質問とそれに対する議長等の回答が必須の要素となる。
株主質問とそれに対する議長等の回答のない株主総会は、投資家対応型株主総会では「気の抜けたビール」のようなものである。
したがって、本気で投資家対応型あるいはIR型の株主総会をしたいのならば、是が非でも株主質問が必要である。株主質問を受けるために、真剣な検討をすべきであり、いろいろなアイディアを工夫すべきである。
この際に、前例主義は捨て去り、白紙の状態で考えることである。最悪でも、社員株主の質問が考えられて良い。
社員株主も株主であることに変りはないから、その質問に対し議長等の回答があれば、一般株主が必要な議長等の態度・姿勢等の経営情報が分かる。
今後の株主総会の常識では、株主質問のない株主総会は失敗であったと評価されるべきである。
(文責 鳥飼重和)-2003.5.30
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