平成15年株主総会 第6回 議長・答弁担当役員の株主質問への回答法

第6回 議長・答弁担当役員の株主質問への回答法

 投資家対応型株主総会では、議長も株主質問に回答することが望ましい。議長の回答の姿勢・態度が投資家にとっても重要な投資情報になるからである。

 議長がどういう株主質問について回答すべきかは、議長自身が決めればよい。経営方針等議長が自信を持って回答できるものに対して回答すればよい。

 自信もない質問に無理して回答する必要はない。議長の自信のない回答の態度は投資家である株主に不安感を与えるだけである。

 議長が回答する場合には、議長の回答だけで回答を終わってよい場合もあるし、議長の回答のほかに答弁担当役員の回答がある場合もある。

 後者の場合には、議長が回答した後に答弁担当役員の回答があっても良いし、答弁担当役員の回答を補足するようにして議長の回答があるのでも良い。議長のやりやすいようにすれば良いのである。

 議長・答弁担当役員の回答については、次の点を参考にしていただきたい。議長等の回答の目的は、投資家である株主の納得であり、安心感である。

 そのためには、議長等は「自信」を持った回答をすべきである。議長が自信を持った回答をするためには、議事進行に不安がないことが重要である。

 信頼出来る事務局がいれば、議長は議事進行の余裕が出来て、株主質問にも落ち着いて回答できる。投資家である株主の納得・安心という面からすれば、回答の内容よりも、議長等の回答の態度が重要であり、回答について自信がありそうに見えることが重視される。

 次に、議長等は株主質問に対して、正面から回答する必要がある。株主質問には回答しにくいいやな質問も有るが、その質問をはぐらかした回答をすることは避けるべきである。

 そうでないと、株主は議長等が回答を逃げたと感じて、会社や経営者に対しての信頼感を失いかねないからである。株主質問に対し逃げないで、真正面から自信を持った回答をすることが株主の信頼感・安心感につながるのである。

 この事業部門は「当期は、どのぐらいの赤字か」と質問されたら、本当は答えたくなくとも、「この事業部門の当期の赤字は350億円です。」と正直に答えるべきである。

 さらに、株主の質問に対しては、議長等は「自分の言葉」で回答すべきである。換言すれば、想定問答集等を読み上げて回答すべきでないということである。

 単なる読み上げるだけの回答は回答者である議長等の人間性が伝わってこないため、回答を聞く株主の納得・安心に繋がらないのである。

 想定問答集等は回答の参考に過ぎないと考えて、自分の言葉で話すことが重要である。回答者である議長等は会社の事情に精通しているのであるから、株主の質問に自分の言葉で回答できないということはないはずである。

 それから、議長等の回答には出来るだけ業界用語、横文字言葉を使わないことである。株主総会には業界事情を知らず、外国語に弱い一般株主が出席しているのであるから、分かりやすい言葉を使う努力をすべきである。

 最後に、不祥事等で謝罪しなければならないときには、議長等が謝罪したと思えるかどうかよりも、議長等の謝罪を聞いた株主が謝罪していると感じてくれるかどうかが重要である。

 そのためには、議長が自分の言葉で謝罪をすべきである。単に謝罪文を読み上げても、それを聞いた株主には議長等が心から謝罪したようには聞こえないのである。

 以上のように、議長等の回答においては、回答の内容以上に回答の態度・姿勢が重要なのである。

(文責 鳥飼重和)-2003.5.30

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