平成15年株主総会 第7回 リハーサルのチェックポイント

第7回 リハーサルのチェックポイント

 6月総会用のリハーサルが、すでに始まっているが、これからリハーサルが本格化するので、リハーサルのチェックポイントを明らかにしたい。

 まず、当期の株主総会に特殊株主等の問題株主がある程度出席することが予想される株主総会と、そうでない投資家対応型株主総会ではチェックポイントが相当異なる。

 特殊株主等の問題株主が、ある程度出席することが予想される株主総会におけるリハーサルのチェックポイントから検討する。

 第1に、警備状況をチェックすべきである。最近の株主総会では暴力事件はおきていないが、暴力事件がおきなくてもおきそうな雰囲気で株主総会を開催すること自体、出席役員は相当に気が重いことになる。

 したがって、警備については万全であることをリハーサルのときにも、役員に植え付けることが重要となる。

 特殊株主の多く出席する株主総会でも、社員株主を多数動員し前列に並ばせて盾とするような運営方法は採りにくいのが現状であるから、警備については特段の準備が必要になるのである。

 第2に、議長の議事整理権がしっかり確立しなければならない。すくなくとも、特殊株主たちに、議長が議事整理権のあることを理解し、その権利をきっちり行使するつもりであることを認識させる必要がある。

 そのために、だらだら質問をする株主には、簡潔に質問をするように指示するとか、一問一答の質疑方式をすることをはっきりさせ、そのとおり実行することである。

 その場合、議長の指示に従わない株主には、適切な警告を与えた上で、質問を終了させ、次の株主を指名する必要がある。

 長い時間、質問を続ける株主には、ある程度の株主が質問を求めている場合、他の株主にも質問の機会を与える必要があるから、議長は「あと一問で質問を終了していただきます」と明言し、その言葉どおり、あと一問の質問を受け、それに対する回答が終了したときには、次の株主を指名することが必要である。

 大切なことは、議長の議事整理によって、総会が進行しているのをはっきりさせることである。質問したい株主には質問の機会を与えるが、議長の議事整理を無視した株主の行動は許さないという姿勢が一貫していることが重要である。

 第3に、質問する株主が特殊株主等問題株主であろうとも、その質問がまともなものであれば、一般株主が質問した場合と同じように、質問に対し正面から、誠実に、自分の言葉で回答すべきである。

 質問株主が誰であろうと、質問内容がまともであれば、株主総会に出席している一般株主は、その質問に対して議長等が誠実な態度で回答することを求めているからである。

 第4に、問題株主が質問の際に、嫌味や威嚇的言辞を用いても、それにひるんではならない。そういうときこそ、堂々とした態度で、回答してこそ一般株主は議長等の頼もしさ、信頼の念を持つものである。

 その意味では、一般株主に信頼感をもたらす契機を与えてくれた問題株主に感謝しても良いくらいである。

 大切なことは、質問する株主の態度・質問内容ではないのであり、その態度・質問内容に対する議長等の受け留め方であり、対応の仕方である。つまり、本当の敵は議長等の心の内にある。

 以上に対し、投資家対応型株主総会用リハーサルのポイントは次回、「株主総会への対応・第8回」にて明らかにする。

(文責 鳥飼重和)-2003.6.5

関連するコラム

鳥飼 重和のコラム

一覧へ