平成15年株主総会 第12回 質疑応答の実際 その4
第12回 質疑応答の実際 その4
質問6
当社の取締役には社外取締役が一人もいないが、それはなぜか
社外取締役を中心とする委員会等設置会社の選択が可能になったが、取締役に対するガバナンス強化が重要であるという認識が一般化しつつある。
しかし、社外取締役であれば誰でも良いわけではない。経営についての専門性と人格の高潔さ等が社外取締役には必要である。
さらに、現場を重視する経営を標榜する日本の製造業では、社内の現場を知らないものが取締役として監視役となるのはふさわしくないという考え方も根強い。
「確かに、現在、当社には社外取締役がおりません。それは社外取締役を排斥しているからというわけではありません。当社の現状を良く理解し、適切なご意見をいただけるような社外取締役に適した人材に巡り合っていないからです。適切な人材がいれば、社外取締役を検討したいと考えております。」
「当社は伝統的に現場重視をしてまいりました。つまり、現場重視が当社の競争の源泉です。そのため、適切な経営判断をするには当社の現場を良く知っている経営陣によるべきものと考えております。その結果、取締役には社外取締役を考えておりません。
ただ、ガバナンス強化が重要であることは確かですので、当社は社外の有識者を入れたアドバイザリーボードを設けております。」
質問7
なぜ、委員会等設置会社を選択しないのか
改正商法で、委員会等設置会社というアメリカ型ガバナンスを選択できるようになった。委員会等設置会社のメリットは、1つには、意思決定が迅速に出来るシステムであること、
2つには、経営者へのガバナンスがシステム化されていることにある。
意思決定の迅速化は、重要な事項の多くを取り締まり違約会ではなく、執行役に委任できるところに制度的メリットがある。例えば、代表執行役一人で大型のMAが決められる。
また、社外取締役が過半数で構成する資格委員会・報酬委員会がそれぞれ取締役人事権・取締役等の報酬決定権を掌握できるシステムであるから、経営者に対し飴と鞭で望むことが出来る。
日本的なガバナンスでは、上記両者はシステム的に保障されていない。そこで、委員会等設置会社を選択しない場合には、上記システムに代替するものがあることを理由に入れることが望まれる。
「当社は、委員会等設置会社は選択しませんが、任意の諮問機関として資格委員会や報酬委員会を設けており、社外の有識者の意見を尊重するようにしております。この方が柔軟なガバナンスが出来ると考えてのことです。
また、当社の取締役は10名という少数であり、常に取締役間及び執行役員との間で経営に関する意見交換をしており、経営に関する意思決定を迅速に出来る体制を持っております。その意味でも、委員会等設置会社を選択しなくとも、そのメリットに相当するものを得られるようになっております。」
(文責 鳥飼重和)-2003.6.18
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