会社法QA 第6回 大会社の機関設計
※ 本連載は平成17年に「新会社法QA」として掲載された内容です。その後の改正はこちらをご参照ください。
【テーマ】 大会社の機関設計
【解説】
1 公開会社である大会社
新会社法において、大会社とは、最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上であるか、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である会社をいいます(新会社法2条6号)。最終事業年度が基準ですから期中に資本金又は負債が所定額以上になっても、即時に大会社になるわけではありません。最終の貸借対照表の確定を待つことになります。このような大会社の機関設計のあり方は以下のとおりです。
2 公開会社である大会社
公開会社である大会社では、株主や会社債権者が多数にわたることが想定されるため、ガバナンスの強化のために、会計監査人を設置すること、及び、監査役会または三委員会を設置することが義務付けられるので、以下の会社形態のみ選択することが可能です。
[1] 取締役会+監査役会+会計監査人
[2] 取締役会+三委員会+会計監査人
なお、いずれの場合においても、任意に会計参与を設置することはできます。ただ実務上は、[1]もしくは[2]の機関設計(要するに新会社法制定前から可能であった機関設計)を採用する会社が多くなるのではないか、と予想されています。
3 株式譲渡制限会社である大会社
株式譲渡制限会社(すべての種類の株式につき株式譲渡制限制度を採用している大会社)である大会社は、公開大会社と比べると、株主は少数であり、あまり株主が交替しないことが予想されます。このような譲渡制限会社では、監査役会または三委員会の設置が義務づけられていません(会社法328条1項)。また、取締役会の設置も強制されていません。
そこで、既に説明した公開会社である大会社の場合に採用することのできる
[1] 取締役会+監査役会+会計監査人
[2] 取締役会+三委員会+会計監査人
に加えて、
[3] 取締役会+監査役+会計監査人
[4] 取締役+監査役+会計監査人
も、採用可能です。なお、いずれの場合も、任意に会計参与を設置することが可能です。
【質問】
いわゆる大会社であるA株式会社が選択できる機関設計のうち、選択できない機関設計はどれか。
【選択肢】
[1] 取締役会+三委員会+会計監査人
[2] 取締役+監査役+会計監査人
[3] 取締役+監査役会+会計参与
【正解】 [3]
【解説】
新会社法は、大会社について、会計監査人の設置を義務づけています(328条)。
すなわち、最近の企業不祥事の事例に鑑みても、各企業が自社の適正なガバナンスを確保するための体制を整備する必要があることは言うまでもないことなのですが、株式会社のうち、特に大会社については、その活動による社会的影響も大きいため、適正なガバナンスを確保する必要があります。
そこで、新会社法は、すべての株式会社において、任意に会計監査人制度を採用することができるとしたうえで(会社法326条2項)、大会社の適正なガバナンスを確保するため、大会社についてはとくに会計監査人の設置を義務づけることにしたのです(328条)。
従って、公開会社はもとより、株式譲渡制限会社(すべての種類の株式につき株式譲渡制限制度を採用している会社)でもおよそ大会社に該当する以上、会計監査人を設置することが義務付けられるので、会計監査人を設置しない機関設計は採用できません。
このことは会計参与を置くか置かないかで結論は変わりません。
従って正解は[3]です。
※ 本記事は平成17年に「新会社法QA」として掲載されたものです。その後の法改正はこちらをご参照ください。
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