国税OBが緊急寄稿!!所得税法は“生身の人間”を対象 上場株式等の譲渡益課税の見直し

第4回 上場株式等の譲渡益課税の見直し

 株式市場が低迷する中で、証券関連税制の見直しが緊急に浮上し、昨年11月26日に臨時国会で上場株式等の譲渡益の見直し法案が可決され成立しました。日本経済の後退が続く中で個人投資家を果たして株式市場に呼び戻せるのでしょうか。証券関連税制の概要は次のとおりです。
1. 株式譲渡益の源泉分離課税は、平成14年12月31日をもって廃止し、申告分離課税に一本化する。
2. 申告分離課税の税率を現行の26%から20%に引き下げる(平成15年から)。
3. 1年超保有上場株式等に係る譲渡所得税率を10%とする(平成15年から17年までの3年間)
4. 1年超保有上場株式等を譲渡した場合の100万円特別控除は、平成13年10月1日から平成15年3月31日までの譲渡に適用される時限立法であるが、その適用期限を平成17年12月31日まで延長する。この100万円特別控除の対象となる上場株式等については、[1] 国内上場株式及び店頭売買登録株式、[2] ETF(特定株式投資信託受益証券)、[3] 優先出資証券が該当するが、これにJリート(上場不動産投資法人の投資口)を追加する。
5. 上場株式等の譲渡による損失の金額のうち、その年に控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたり、繰越控除ができる(平成15年から)。
6. 平成13年9月30日以前に取得した上場株式を平成15年1月1日から平成22年12月31日までに譲渡する場合の取得費の額は、選択により平成13年10月1日における価額の80%相当額とすることができる。
7. この法律の施行日(平成13年11月30日)から平成14年末までに購入した上場株式等で、購入額の合計が1,000万円に達するまでのものを、平成17年から平成19年までの間に譲渡した場合には、その譲渡所得等について、一定の要件の下で非課税とする。
 証券関連税制は、上記のように、恒久的な制度改正と時限措置が混在するなど、内容が複雑で売却時期によって税負担が大きく変わります。そして、何よりも源泉分離課税が廃止されることの影響が大きいと思います。今まで、家庭の主婦がへそくりで株式投資をしたり、サラリーマンが投資をした場合、税務署への確定申告が不要でしたが、源泉分離課税が廃止され申告分離課税に一本化されると、確定申告が必要になります。

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