国税OBが緊急寄稿!!所得税法は“生身の人間”を対象 死亡保険金に課される税金
第7回 死亡保険金に課される税金
わが国では、交通事故により死亡する人は年間12,000人に上ると報道されております。その交通事故等により子供を亡くし、悲しみの中で両親が死亡保険金を受け取ったときは、どのような課税関係になるのでしょうか。死亡保険金の課税は、その保険契約に係る保険料の負担者がだれであるかによって異なります。
イ 所得税法にいう所得には、相続や贈与による利得も含まれますが、相続税や贈与税の課税対象となるものは、二重課税を排除するという観点から、所得税が非課税とされます(同法9条1項15号)。
ロ 他方、相続税法では、被保険者の死亡により相続人その他の者が死亡保険金を取得した場合に、[1] 被保険者が保険料を負担していたときは、保険金受取人が被保険者から保険金を相続又は遺贈により取得したものとみなされて、相続税の課税対象とされ(同法3条1項1号)、[2] 被保険者又は保険金受取人以外の第三者が保険料を負担していたときは、保険金受取人がその第三者から保険金を贈与によって取得したものとみなされて、贈与税の課税対象とされます(同法5条1項)
ハ したがって、保険金受取人が保険料を負担していたときの死亡保険金は、相続や贈与によって取得したものとみなされないので、相続税や贈与税の課税対象とならず、一時所得として所得税が課税されることになります。例えば、父親が自動車総合保険に加入し、保険料を支払っていた場合に、搭乗者である子供が交通事故により死亡したときには、両親が保険金を受け取ると、父親の取得する保険金は一時所得として所得税が課税され、母親の取得する保険金は贈与税が課税されることになるのです。死亡保険金が2,500万円である場合の税額を概算で計算してみますと、父親の所得税は160万円、母親の贈与税は405万円となります。この場合に、保険料を子供が負担していたときには、両親が受け取る保険金が相続税の課税対象となりますから、子供が保険金以外の財産を有していないときは、税額はゼロとなります。
以上の関係を表にまとめると、次のとおりとなります。
保険料負担者 被保険者 保険金受取人 税金の種類
[1] A A B 相続税
[2] A B A 所得税(一時所得)
[3] A B C 贈与税
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