国税OBが緊急寄稿!!所得税法は“生身の人間”を対象 投資信託と税金

第22回 投資信託と税金

 投資信託は運用の専門家である投資信託委託会社(ファンドマネージャー)が多数の投資家から資金を集め、その資金(ファンド)を株式や債券などの有価証券等に分散投資して、運用収益を投資家に分配する金融商品です。この投資信託のうち、公社債に運用するものを「公社債投資信託」といい、一部でも株式に運用するものを「株式投資信託」といいます。投資信託の運用収益は、利子、配当、証券の売却益など各種の収益が混在しており、公社債投資信託の収益の分配金(期中分配金、解約による分配金、償還による分配金)は、貯蓄の果実である預貯金の利子と類似するところから、利子所得に分類され、また、株式投資信託の収益の分配金は、投資者がファンドから出資者の立場で受ける利益の分配に当たるところから、配当所得に分類されております。この投資信託の収益分配金に対しては、租税特別措置法により、次の課税方法が採られております。

1 公社債投資信託の収益の分配金は、所得税15%(ほかに地方税5%)の税率による一律源泉分離課税となります。これには、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)、中国ファンド及びMMF(マネー・マネジメント・ファンド)などがあります。

2 公募・契約型の株式投資信託(特定株式投資信託を除きます。)の収益の分配金は、配当所得に該当しますが、利子所得並の所得税15%(ほかに地方税5%)の税率による一律源泉分離課税の制度が採用されております。

3 特定株式投資信託とは、特定の株価指数に採用されている銘柄のみに投資を行う公募・契約型の投資信託をいいますが、その受益証券は証券取引所に上場され、株式と同じように売買されます。これには、日経300株価指数連動型上場投資信託のほか、東証株価指数や日経平均株価指数に連動する株価指数連動型上場投資信託(ETF)があります。その収益の分配金は、株式の配当と同様に、20%の税率による所得税が源泉徴収され、総合課税の対象となります。
 なお、源泉分離課税の選択はできませんが、その年中に支払われる金額が10万円以下であるものについては、少額配当の申告不要制度を適用できます。

4 不動産投資信託(J-リート)は、投資者から集めた資金を不動産に投資して賃貸収入や売却収入などの運用益を投資者に分配する投資信託です。その収益の分配金は、株式の配当と同様に20%の税率による所得税が源泉徴収され、総合課税の対象となりますが、株式配当と異なって配当控除の適用はありません。なお、不動産投資信託の収益の分配金については、少額配当の申告不要制度や源泉分離課税の適用があります。

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