国税OBが緊急寄稿!!所得税法は“生身の人間”を対象 不動産所得は事業的規模か
第27回 不動産所得は事業的規模か
不動産所得の金額は、総収入金額から必要経費を控除して計算しますが、同じ不動産所得であっても、[1] 不動産所得を生ずべき事業から生じたもの(事業的規模)であるか、又は[2] 不動産所得を生ずべき業務から生じたもの(業務的規模)であるかによって、次表のとおり、必要経費等の額が異なることになります。
この場合、建物又は土地の貸付けが事業的規模で行われているか又は業務的規模で行われているかどうかについては、社会通念上事業と称する程度の規模で建物又は土地の貸付けが行われているかどうかで判定することになりますが、実務上は、次に掲げる事実のいずれか一に該当する場合(賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみて、これらの場合に準ずる事情があると認められる場合を含みます。)には、特に反証がない限り、事業として行われているものとされます。
イ 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること
ロ 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること
なお、土地の貸付けにあたっては、1室の貸付けに相当する土地の貸付件数を「おおむね5」として判定することとし、同一の者に対して駐車場を2以上貸し付けている場合には、「土地の貸付け1件」として判定することとされております。
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