国税OBが緊急寄稿!!所得税法は“生身の人間”を対象 事業所得の付随収入
第28回 事業所得の付随収入
事業所得とは物品の卸・小売業、製造業等の営業のほか、農業、林業、狩猟業、漁業、水産養殖業、鉱業等の原始産業、医療保険料、著述業、サービス業などの各種事業から生ずる所得をいいます。この場合の「事業」とは、「自己の危険と計算において利益を得ることを目的として継続的に行う経済活動」と定義することができますが、裁判例では、「営利性・有償性を有し、かつ、反復・継続して営まれる業務であって、社会通念上事業と認められるもの」をいうとするのが少なくありません。したがって、事業所得の総収入金額には、物品販売業における商品の販売代金、不動産仲介業における仲介手数料、金融業における貸付金の利子、農業等における収穫物の収入などのほか、医師の診療報酬、作家の印税、弁護士やプロ野球選手の報酬など、その事業の目的とされる行為そのものから生ずる収入が含まれることは明らかですが、これらに限らず、その事業から付随的に生ずる収入も事業所得の総収入金額に該当することになるのです。所得税基本通達では、次に掲げるような収入は、事業所得の総収入金額に該当することを明らかにしております。
(1) 事業の遂行上、取引先又は使用人に対して貸し付けた金銭の利子
(2) 事業用資産の購入に伴って景品として受ける金品
(3) 新聞販売店における折込広告収入
(4) 浴場業、飲食店業における広告の掲示収入
(5) 医師又は歯科医師が休日等に診療を行うことにより地方公共団体等から受ける委嘱料
(6) 特別地方消費税や事業用固定資産に係る固定資産税を納期前に納付することにより受ける交付金又は報奨金
(7) 不動産業者が販売目的で取得した不動産を一時的に貸し付けた場合の所得
(8) 使用人に寄宿舎等を貸し付けたことによる所得
(9) 金融業者が担保権の実行等により取得した資産の譲渡等による所得
(10) 貸衣装業における衣装類の譲渡、パチンコ店におけるパチンコ器の譲渡、養豚場における繁殖用又は種付用の豚の譲渡、養鶏業における採卵用の鶏の譲渡など。
なお、プロ野球の選手などが受ける澤村賞・正力賞などの金品、プロサッカー選手が受けるワールドサッカーの報奨金も、事業所得の付随収入に該当することになります。
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