国税OBが緊急寄稿!!所得税法は“生身の人間”を対象 金融・証券税制の改正について3
第34回 金融・証券税制の改正について
4 特定口座・申告不要制度の特例の改善
4 特定口座・申告不要制度の特例の改善
特定口座とは、個人が証券会社に一定の要件を充たす「特定口座」を開設し、この「特定口座」を通じて上場株式等を譲渡した場合には、証券会社が譲渡損益を計算し、証券会社から送付される「年間取引報告書」を確定申告書に添付することにより、簡易な申告ができる制度です。また、「特定口座」を開設した人が源泉徴収の方法を選択した場合には、証券会社が譲渡益の発生する都度、15%の税率による所得税を徴収し、確定申告をしないこともできます(住民税は別途5%が賦課されます)。特定口座における源泉徴収制度は、平成15年1月1日にスタートしましたが、株式等の譲渡益が生じた月ごとに所得税が源泉徴収される仕組みが採られており、同一年中に株式等の譲渡損失などが生じた場合には確定申告が必要となるなど、使い勝手の悪さが指摘されておりました。
そこで、今回の改正では、次のように改善されました。
[1] 平成16年以後の特定口座における所得税の源泉徴収は、証券会社において年間の株式等の譲渡益を通算し、翌年1月10日までに一括納付する。
[2] 平成15年中の特定口座における所得税の源泉徴収は、株式等の譲渡益が生じた月ごとに所得税を源泉徴収するが、証券会社が年末時点で1年間分の譲渡損益を通算し、納め過ぎの所得税がある場合には特定口座の開設者に還付する。
[3] 平成16年以後の特定口座における株式等の譲渡益に対しては、住民税についても、 特別徴収の方法が採用される。
なお、特定口座において上場株式等を譲渡した場合の譲渡益に対する税率は、平成15年4月1日から平成19年2月31日までの間は所得税7%、住民税3%となります。
(参考)株式譲渡益、配当金、収益分配金に対する税率
H15.1.1~
H15.3.31 H15.4.1~
H15.12.31 H16.1.1~
H20.3.31 H20.4.1~
譲
渡
益 上場株式等 所得税7%、住民税3%
(H19.12.31まで) 所得税15%
住民税5%
(H20.1.1より)
上場株式等
(特定口座) 所得税15%
源泉徴収 所得税7% 所得税7%
住民税3%
非上場株式 所得税20%、住民税6%(改正なし)
配
当 上場株式等 所得税20% 所得税10% 所得税7%
住民税3% 所得税15%
住民税5%
非上場株式 所得税20%、総合課税(改正なし)
投
信 収益分配金 所得税15%、住民税5% 所得税7%
住民税3% 所得税15%
住民税5%
2003.5.30