国税OBが緊急寄稿!!所得税法は“生身の人間”を対象 公的年金等以外の雑所得
第69回 公的年金等以外の雑所得
雑所得は、利子所得から一時所得までの9種類のいずれの所得にも該当しない所得をいい、種々雑多のものが含まれておりますから、ある種の所得が雑所得に該当するかどうかは、利子所得から一時所得までの各種の所得に該当するかどうかを検討する必要があります。その結果、いずれの所得にも該当しなければ雑所得になるわけです。公的年金等以外の雑所得の主なものには、次があります。
1 利子所得に類似するもの・・・公社債の償還差益、役員が勤務先に預けた金員の利子、国税及び地方税の還付加算金及び非営業貸金の利子
2 配当所得に類似するもの・・・株主優待券、株主等が創業記念や増資記念等として交付を受ける記念品
3 不動産所得に類似するもの・・・20屯未満の船舶及び舟の貸付けによる所得、時間極駐車場・駐輪場の所得、バンガロー等の貸付けによる所得
4 事業所得に類似するもの・・・不動産や有価証券の継続的売買による所得、作家や作曲家以外の者が受ける原稿・作曲等の報酬又は著作権の使用料、動産の貸付けや特許権等の使用料に係る所得
5 給与所得に類似するもの・・・就職支度金等、職務に関連して会社の取引先等から贈与等により取得する金品、組合事務専従者以外の労働組合員が組合から受ける日当等
6 山林所得に類似するもの・・・保有期間が5年以内の山林の伐採又は譲渡による所得(事業所得に該当しないのもの)
7 譲渡所得に類似するもの・・・不動産や有価証券の継続的売買による所得(事業所得に該当しないのもの)
8 一時所得に類似するもの・・・人格のない社団等の構成員が受ける収益の分配金
9 公的年金等に類似するもの・・・郵便年金や生命保険年金等の利殖年金
10 その他・・・政治家の政治資金収入
以上のように、雑所得には各種の所得に類似するものがありますが、所得金額は各種所得に準じて計算するのではなく、収入金額から必要経費を差し引いて計算する仕組みが採られております。したがって、非営業貸金の利子が利子所得に類似するからといって、収入金額イコール所得金額となるわけではなく、利子収入を得るために必要な経費があれば、これを差し引くことができるのです。もっとも、非営業貸金の元本の貸倒れは、その年における雑所得の金額を限度として必要経費に算入されることになっております。
2004.10.1
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