実践!不服申立 第7回 ~不服申立の手続き~ [4] 異議申立て手続きのあらまし -異議申立て手続きの手順と異議申立書の書き方-

 前回は、不服申立の種類の一つである「異議申立て」について、その手続きに必要な書類である異議申立書についてお話しさせて頂きました。  これによって、異議申立書がどういうものであるかがお分かり頂けたと思います。

 そこで、今回は、異議申立の手続きの手順と、異議申立書の実際の記載方法についてお話をさせて頂きます。

 まず、異議申立の手続きですが、これはおおよそ次のような手順で進んでいきます。

1. 異議申立書の提出
2. 形式審査
3. 異議申立の補正
4. 口頭意見陳述
5. 異議申立の調査
6. 決定

 これがフルコースの異議申立です。一見、多くの手続きをしなくてはならないような感じがしますが、それ程面倒なものではありません。
 異議申立書を提出致しますと(上記1)、それが適法になされているものかという形式的な審査が行われます(上記2)。これは例えば、異議申立書に日付が書いてあるかどうか、税務署名が正しく書いてあるかどうかといったことが調べられます。もし間違っているようなときには税務署から連絡が来ますので、記入漏れや間違えた場所を訂正してください(これを「補正」といいます。上記3))。
 この後、実際に書面に記載された内容に基づいて納税者の主張が正しいのかどうかの審理に入ることになります。
 書面では書ききれなかったことや、書面では伝えられない微妙なニュアンスの主張があれば、実際に税務署員の前で、口頭でその旨の話をすることが出来ます(上記4)。税務署員はこれを黙って聞き、記録します(一口メモ)。そしてそれが終わった後、異議申立人(納税者)に記録を読んで聞かせて、納税者が言ったことと、税務署員が書き取ったことに齟齬がないかどうか、また、書き漏れがないかどうか確認してきます。
 このとき最も大事なのは、この記録された書面をよく読み、「自分の言ったことと細かい点は少し違うが、大体合っている」として署名・押印しないことです。この書面は証拠として残ります。ですから、些細なことであっても訂正を求めてください。このとき「訂正してもらうのは悪いかな」、「あまり細かいことを言うと気分を害して取り消してくれなくなるかも」、と思わないことです。先方も仕事ですから、しっかりと直してくれます。
 この口頭意見陳述と別に行われるのが異議調査です(上記5)。これは、納税者から異議申立がなされたことが正しいのかどうか、書類を見たり異議申立人に事情を聞くなどして異議審理庁が理解を深めていくわけです。
 そして、これらの手続きが全て終わった段階で、異議審理庁は、納税者の主張が正しければその主張の正しい部分について更正処分を取り消し、納税者の主張が正しくないと判断すれば、異議申立てを棄却することになります。これを「決定」と言います(上記6)。
 簡単に手続きの流れをご説明しましたが、もう少し詳しいことについては、次回以降にお話をさせて頂きます。
 ご自身のことやご自身が経営されている会社のことは、ご自身が一番よく知っているわけですから、身構えず、自然体でこの手続きを進めてください。

 次に、異議申立ての最初の手続きである異議申立書の書き方についてですが、この点につきましては、国税庁が発表している「異議申立書(処分用)の記載要領」(http://www.nta.go.jp/category/yousiki/igi/pdf/01_4.pdf)を見て、順に記入していくのが最も安全です。→クリック
 「更正通知書」と「異議申立書(処分用)」と、この「記載要領」を3点セットで机に置いて書いてみてください。
 記載要領の「1~8」は主に形式面について記載していく部分ですから、更正通知書を良く見て頂ければ書き込んでいくことが出来ると思います。
 記載要領の「9~12」、特に9及び10は異議申立において最も重要な箇所となりますから、次回以降にその書き方のコツをお話しさせて頂きます。

一口メモ 本当に、納税者の言うことを黙って聞いています(先方からの質問などは原則としてありません)。一方的に話し続けるというのは意外に難しいものだと感じます(笑)。
参考:国税通則法精解
文責:税務部 高田貴史