公益法人制度改革~外部監事~

1 公益法人制度改革について

来年4月1日から、公益法人を巡る法制度の改正が施行されます。その内容は多岐にわたりますが、今般の改正において、ガバナンスをどのようにして充実させていくかが重要となります。その中でも、理事による公益法人の私物化や内輪のみの法人運営の防止や今般の公益法人制度改革に伴う財務規律の柔軟化等に伴って、適切な業務執行が行えるよう外部理事・外部監事の制度が変わります。そこで、今回は早めの対策が外部理事と同様必要となる外部監事について取り上げます。

2 外部監事は誰がなれるのか

まず、公益法人において、外部監事は監事が2人以上いる法人においては、法人の規模に関係なくすべての法人に設置が必要となります。これは、改正された公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下、「改正認定法」といいます。)5条15号ただし書きの外部理事の適用除外が、外部監事の条件を定めた同条16号には規定がないためです。

改正認定法は、外部監事になれる者として、「監事(監事が二人以上ある場合にあっては、監事のうち一人以上)が、その就任の前十年間当該法人又はその子法人の理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者であること。」と定めています。具体的に外部監事になれる者は、①過去10年間に法人やその子法人の理事や使用人であったことがない者、②現在社団法人の社員でない者③②の社員が法人である場合、その役員や使用人ではない者④財団法人の設立者でない者⑤④の設立者が法人である場合、その役員や使用人ではない者です。

このような外部監事の要件に照らせば、理事の退任後監事になるという横滑り人事を行っている場合は外部監事の要件をみたさなくなるため、別に外部監事を確保する必要がでてきます。また、外部監事だけでなく監事にも適用されるルールとして、「各理事について、監事(監事が二人以上ある場合にあっては、各監事)と特別利害関係を有しないものであること。」との規定が追加されており(改正認定法5条12号)、外部監事においても理事と特別利害関係があると就任することはできませんので、注意が必要です。特別利害関係とは、一方の者が他方の者の配偶者又は3親等以内の親族である関係その他特別な利害関係として政令で定めるものをいいます(改正認定法5条10号)。

3 経過措置について

改正認定法が施行される令和7年4月1日から上記の外部監事に関する規定は適用されるものですが、改正認定法附則5条3項に定める経過措置により、改正認定法施⾏後も、在職中の全ての監事が任期満了となるまでの間に基準に適合すれば良いとされています。通常、任期は2年とすることが多いことに鑑みれば、2026年の定時社員総会または定時評議員会までに外部監事候補を選任すれば良いということとなります。しかしながら、外部監事は、外部理事の選任とあわせ人材の確保に時間がかかることが予想され、早めの準備が必要となるといえます。

以上

投稿者等

横地 未央

業務分野

公益法人・医療法人等

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