在職老齢年金の壁

 103万円の壁は政治決着を見た。他方厚生年金の受給制限も改正の動きがある(11月20日日経)。現在は、厚生年金の受給年齢になっても給与収入があるとその額が減らされる。場合によってはゼロになってしまう。働く高齢者に罰を与えるような不合理な制度だ。働く意欲を削ぐことにおいては103万円の壁と同類だ。これを改正しようという動きがある。

 一方、その分の年金財源をどうするかという103万円の壁と同類の議論もある。しかし、そもそも全額支給するのが当たり前で、働く高齢者に罰を与えるような不合理な制度なのだから、これを合理的な状態に戻すだけである。財源議論はそれからだろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

関連するコラム

奈良 正哉のコラム

一覧へ