Q 近年、新聞報道された過大徴収事案にはどのようなものがあるか?
A 近年、新聞報道された主な過大徴収事案は、下表のとおりです。ここから読み取れることは、①過大徴収は納税者が指摘するまで続く傾向にあること、②還付は最大でも20年に限定され、それ以前の過大徴収額は返還されないこと、③土地と比べ、建物の過大徴収は長期に及ぶ傾向にあること、です。
市町村 |
概要 |
発覚の契機 |
還付金、加算金 |
静岡市 2015 |
用途変更の際、路線価を誤認定。所有者109名の土地から20年間の過大徴収。 |
不明 |
約3億3600万円 |
館山市 2016 |
課税台帳に「539万円」と入力すべきところ、「1390万円」と誤入力。家屋1棟から14年間の過大徴収。 |
納税者の指摘 |
約1億4000万円 |
武蔵野市 2017 |
家屋全体を鉄骨鉄筋コンクリート造と誤認定。家屋2棟から18年間の過大徴収。 |
納税者の情報公開請求 |
約2億6000万円 |
印西市 2017 |
鉄骨造を鉄骨鉄筋コンクリート造と誤認定。家屋3棟から20年以上の過大徴収。 |
不明 |
約4億3300万円 |
大阪市 2020 |
基礎部分の杭を過大評価。約1万戸の家屋に影響が及ぶ。 |
納税者の指摘 |
約71億円 |
小樽市 2020 |
鉄骨造を鉄筋鉄骨コンクリート造と誤認定。家屋1棟から20年以上の過大徴収。 |
納税者の指摘 |
約1億3600万円 |
前橋市 2020 |
宅地比準割合の誤り、構造の誤認定により、土地1か所と家屋2棟から過大徴収。 |
納税者の指摘 |
約1億円 |
八千代市 2022 |
鉄骨造を鉄筋コンクリート造と誤認定。家屋1棟から30年以上の過大徴収(還付は20年に限定)。 |
納税者の指摘 |
約7200万円 |
大田原市 2023 |
鉄骨造を鉄骨鉄筋コンクリート造と誤認定。17年間の過大徴収。 |
納税者の指摘 |
約5700万円 |
都城市 2023 |
鉄骨造を鉄骨鉄筋コンクリート造と誤認定。家屋2棟から20年以上の過大徴収(還付は20年に限定)。 |
納税者の指摘 |
約4500万円 |
熊谷市 2024 |
評価の際に誤った数値を使用。家屋1棟から51年間の過大徴収(還付は10年に限定)。 |
納税者の指摘 |
約1億円 |
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