Q 固定資産の登録価格が違法になるのはどのような場合か?
A 自治体は、毎年3月31日までに、固定資産の価格(評価額)を決定し、これを固定資産課税台帳に登録します(地方税法410条1項、411条1項、2項)。そして、この課税台帳の登録価格に基づいて固定資産税の金額が計算されます。
自治体による固定資産の登録価格が違法になるのは、①固定資産評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回るとき、または、②固定資産評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものではなく、またはその評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別な事情が存する場合であって、同期日における客観的な交換価値としての適正な時価を上回るとき、です(最判平成25年7月12日判タ1394号124頁)。
①より、自治体が固定資産評価基準の適用を誤り、登録価格が本来、適正に同基準を適用した場合の価格を超えた場合、登録価格は直ちに違法になります(登録価格が適正な時価を超えているかどうかは問われない)。
他方で、②より、自治体の固定資産評価基準の適用に誤りがない場合には、単に不動産鑑定士による不動産の鑑定評価額が登録価格を超えているというだけでは登録価格は違法にはなりません。納税者としては、登録価格が適正な時価を超えていることに加え、固定資産評価基準では適正な時価を算定することができない特別な事情を主張立証する必要があります。
登録価格の適法性に関しては上記の判断枠組みが採られているため、自治体による固定資産の登録価格に関する裁判においては、まずは自治体の固定資産評価基準の適用に誤りがあるといえるかどうかが主要な争点となります。
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