弁護士が使う、文章の説得力を高めるための5つの視点
2024年4月3日(水)12時~13時にて、「弁護士が使う、文章の説得力を高めるための5つの視点」のウェビナーを開催いたしました。当日は、500名ほどの方にご参加いただきました。その要旨は、以下のとおりです。
なお、こちらから録画を無料で視聴いただけます。
【アーカイブ動画】弁護士が使う、文章の説得力を高めるための5つの視点
第1 必要性と許容性 -「矛」と「盾」を使いこなす-
1 視点
①必要性
その結論を採用する必要があることを示す。
→その結論を採用する理由や採用しないことで生じる不都合を示す。
②許容性
その結論の採用が許容されることを示す。
→その結論を採用することで生じうる不都合を想定した上で、その不都合の生じる可能性や対応策、やむを得ないといえる事情を示す。
2 ポイント
①必要性(矛)だけでは打たれ弱い、許容性(盾)も必要である。
②許容性(盾)の視点を持つことで、自説の弱点を手当てできる。
③必要性と許容性のどちらが争点になっているか意識する。
第2 形式論と実質論 -「形」と「中身」で勝負する-
1 視点
①形式論
ルールから形式的に導かれる結論を提示する。
→法律や規則、基準、取り決め、慣習などを適用した結果を示す。
②実質論
ルールから離れて実質的に妥当な結論を提示する。
→その問題に特有の事情を踏まえた結論を示す。
2 ポイント
①形式論が「原則」、実質論が「例外」である。
②「特有の事情」で「原則」を打ち破るのが実質論である。
③形式論と実質論の両方の立場から根拠づけられると、より強い。
第3 共通点と相違点 -「同じ」と「違い」を強調する-
1 視点
①共通点
比較対象との共通点を挙げることで同じ結論を示す。
→比較対象と「ほとんど」同じであることを示す。
②相違点
比較対象との相違点を挙げることで異なる結論を示す。
→比較対象と「まったく」違うことを示す。
2 ポイント
①同じものを同じように、違うものを違うように扱うのは「公平」である。
②いかに「同じ」といえるか、いかに「違う」といえるか。
③「前例」や「過去事案」と同じ、違うという議論にも使える。
第4 抽出と展開 -情報を自在に足し引きする-
1 視点
①抽出
言いたいことを濃縮する、一言でまとめる、重要な点に絞る。
→主張(メッセージ)は端的に示す。
②展開
言いたいことを裏付ける実例や統計、数字を挙げる。
→根拠(エビデンス)は豊富に示す。
2 ポイント
①主張は端的でなければ伝わらない。
②根拠に乏しい主張は信用されない。
③主張を頂点、根拠を底辺とするピラミッド構造を意識する。
第5 論理と感情 -頭と心に訴える-
1 視点
①論理
論理的な思考で導かれる結論、根拠を示す。
→論理的に納得できる説明をする。
②感情
相手の感情を踏まえた結論、根拠を示す。
→感情的に納得できる説明をする。
2 ポイント
①人間は感情のある生き物である。
②論理的に正しくても説得できるとは限らない。
③「論理」で分が悪いときは「感情」に訴えかける。
以上
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