誹謗中傷を巡る法改正の動向

X(Twitterr)、Google、インスタグラム、Yahоо知恵袋などにおける投稿は、気軽に自分の意見を発信できる反面、虚偽の情報の拡散や誹謗中傷をされてしまう危険性を孕んでいます。実際、そのような状況に直面した場合、一刻も早くそのような投稿を削除したいと考えるところです。例えば、Yahоо知恵袋では、利用規約に違反している質問があった場合は、「違反報告」のボタンをクリックすることで、削除請求をすることができます。しかしながら、必ずYahоо側が対応するものではなく、どのように判断したかなどにつき応答もありません。また、5ちゃんねるでもメールによる削除請求を受け付けており、運転免許証といった本人確認書類など必要書類を添付して請求を行うこととなります。

投稿がなされたサイトの管理者が分からない場合には、サイト管理者の調査、サーバー管理会社の調査をする必要があります。サイト管理者については、まずはサイト内に会社概要のページや利用規約に会社概要の記載がないかを確認します。そういった手がかりがない場合は、WHOISでドメイン名の登録者を検索します。ドメイン名の登録者以外は、そのドメイン名を使用することができないため、ドメイン名登録者とサイト管理者が同一である可能性が高いからです。一方、サーバー管理会社については、URLのうちのホスト名に対応するIPアドレスをWHOISで検索し、特定することになります。

誹謗中傷等の一刻も早い削除を実現するためには、裁判手続き外での任意の削除請求という方法がより使いやすくなる必要があります。しかしながら、X(Twitterr)など代表的なSNSの運営会社の大半が海外にあり、どこに問合せばよいかが分かりづらいという問題がありました。そこで、そのような問題に対処するために、SNSを運営する大手企業に対し、不適切な投稿の削除の申請があった場合における迅速な対応や削除基準の公表などを義務付ける方向での特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)の改正案が本年(2024年)の通常国会に提出される予定です。具体的な改正内容としては、投稿の削除を申請する手続きや窓口の公表に加え、対応結果を一定の期間内に知らせることを運営企業に求めることが想定されています(※1)。

インターネット上における誹謗中傷等に対応するための法改正は、2022年10月1日施行で大きな改正がありましたが、今後も法改正などを含め動きがあることが見込まれます。

以上

引用:

※1 2024年1月12日付け読売新聞

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