スタートアップのアメとムチ

 スタートアップの役員等へのインセンティブとして、信託型ストックオプションが広く使われてきた。しかし、実務上の税務認識と異なる、導入企業や付与対象役員等に不利な見解が国税庁により示された。連日日経の記事になっている。
 これがムチとするとアメも示された。ストックオプションの行使価格の算定の明確化により、より役員等に有利な見直しを図るという国税庁の方針も示された(6月5日日経)。
 しかしいずれにせよ、これらは見事上場を果たした勝ち組企業の役員等への報償だ。日本は負け組に厳しい。まだ、決済をしくじると銀行取引ができなくなってしまう慣行は続いているのだろうか。まだ、経営者(創業者)の個人保証は当然のように取られているのだろうか。負け組に優しくないと、負けを意識しない強気な(あるいは能天気な)人でないと創業が躊躇われてしまう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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