商標を取得してみませんか~QRコードを例に~

1 QRコードにみる商標取得によるビジネス展開の可能性

最近は、飲食店の注文でもQRコードを読み取って注文することが増え、QRコードは私たちの生活に欠かすことができないものとなってきています。そもそもQRコードは、日本の株式会社デンソーウェーブ(以下「デンソー」といいます。)が発明したもので、二次元コードを読み取ることで情報を簡単に取得管理できるシステムです。QRコードは、管理できる情報の多さという点で画期的な発明でしたが、デンソーはQRコード自体をフリーで使用できるとしました。そのような取組みにより、多くの企業が様々な形でQRコードを活用し、QRコードは爆発的に世界中で使用されることになりました。そして、デンソーは、QRコードが普及したタイミングで、QRコードを使用する際には「QRコードはデンソーの登録商標です」との記載をすることをお願いしました。そのような記載がなされることによって、デンソーの名前は世界に広まりました。このようなデンソーの戦略は、特許が公開から20年間のみ特許を独占できるのに対し、商標は登録料を支払い続ければ権利として持ち続けることができるという違いに着目したからこそ成し遂げることができたといえるでしょう(※1)。

2 商標登録手続とは

では、商標登録はどのように行えば良いのでしょうか。まず、登録する商標を選びます。文字でもロゴマークでも登録することができます。そして、登録する商標を使用する商品やサービス(指定商品・指定役務)を選びます。指定できる商品やサービスは、45区分から適切なものを選ぶことになりますが、登録する区分を増やすごとに費用も加算されます。商標登録を検討するに当たっては、どの商品・サービスで使用するかが最重要となります。その理由の1つとして、同一又は類似の商標であっても登録する区分が異なる場合は登録をすることができるため、現状で使用する区分だけではなく今後ビジネス展開を考えている区分についても登録を検討しないと自社の商標権を守ることができないという点が挙げられます。こちらで触れた点以外にも商標登録に当たって考慮すべき事項があり、会社のビジネスプランに即しつつ幅広に登録できないかを検討する必要があるといえます。

3 商標登録に関する最近の動向

さらに商標法に関する法改正の動きもあります。2023年3月10日、特許庁は、「商標を活用したブランド戦略展開に向けた商標制度の見直しについて」(以下、「報告書」といいます。)を公表しました(※2)。報告書によれば、①他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和、②コンセント制度の導入が提言されています。①は、他人の氏名等を含む商標について当該他人の承諾がないと登録ができないとの商標法4条1項8号の規定に関する運用について、登録する他人の氏名の知名度を考慮するといった要件を付け加えることを内容としています。②のコンセント制度とは、商標を出願した際に先に同一又は類似した商標がある場合、先行した商標の権利者の同意があれば商標の併存登録を認める制度をいい、報告書においては、そのように商標が併存登録された場合でもあっても出所混同のおそれがない場合といった留保型コンセント制度の導入が適当であるとされています。このような提言に対応する形で、2023年3月10日、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が本国会に提出されました。

4 まとめ

このように商標はビジネス戦略を考える上で大きな可能性を秘めており、法改正の動きをみてもより商標登録を活発化させようという動きが見受けられます。商標は、取得すれば良いのではなく、会社のビジネスにマッチした形で取得をすることにより、その力を発揮することになります。会社として使用されているロゴなどがある場合、一度弁護士、弁理士など専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。

以上

引用:

※1https://www.jpo.go.jp/news/koho/innovation/01_qrcode.html

※2https://www.jpo.go.jp /resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai /shohyo_shoi/ 20230310_shohyo.html

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