賃金の支払方法として「賃金のデジタル払い」が可能となります!
会社から従業員に対する賃金支払の方法として、現金払いが原則とされていますが、従業員の同意を得た場合には銀行口座などへの振り込みが認められており、現在は振り込みが一般的になっています。
最近、○○Payなど、キャッシュレス決済が普及し又は送金手段が多様化していることから、従業員が同意する場合には、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座へ賃金を支払う方法も認められることになります。この支払方法が、「賃金のデジタル払い」と呼ばれているものです。
賃金のデジタル払いの開始に向けて、今後、大まかに次のような流れが予定されています。(出典:厚生労働省リーフレット「賃金のデジタル払いが可能になります」)
従業員の賃金が確実に支払われるよう、賃金のデジタル払いが認められる資金移動業者の要件(資金保全、換金性、不正引き出しの対策・補償など)が労基法施行規則に定められ、厚生労働大臣が、要件を満たす業者を指定することになっています。
そして、賃金のデジタル払いを賃金支払方法に加えようとする会社は、厚生労働大臣が指定する資金移動業者が明らかになりましたら(※1)、利用する指定資金移動業者などを内容とする労使協定を締結します。その上で、賃金のデジタル払いを希望する各従業員に制度等を説明して、個別に同意書(※2)を提出してもらうことになります。
賃金デジタル払いにおいて、指定資金移動業者の口座は「預金」のためでなく、支払や送金に用いられることが想定されており、口座の上限額は100万円以下に設定されています。ですので、賃金のデジタル払いを希望する従業員が、指定資金移動業者口座で受け取る金額についても、支払や送金に使う見込みの額とすることが適切と思われます。
このように、賃金支払方法に賃金のデジタル払いが加わることによって、日頃から支払や送金に指定資金移動業者口座を利用している従業員にとっては、賃金の一部を指定資金移動業者の口座で受け取り、残りをこれまで通り銀行口座などで受け取ることが可能となり、便利になるでしょう。もちろん、この支払方法を加えるか否かは会社の裁量ですので、従業員側のニーズや利便性の向上、会社側の負担などを比較検討しながら、導入の要否をお考えいただければと思います。
以上
※1 厚生労働大臣が指定した資金移動業者は、指定が行われ次第、厚生労働省の賃金のデジタル払いに関するホームページに掲載される予定です。
※2 厚生労働省のホームページに同意書(参考例)が掲載されています。
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