無形事業資産担保融資

 企業借入の担保は不動産に偏っている。金融庁主導で、担保種類を、将来のキャッシュフローを生むであろう、技術力やのれんなどの無形資産に広げようとしている(1月25日日経)。もっとも、無形資産を含むすべての事業資産を担保にすることは「事業信託」として経験したことがある。本質は変わらないものの、公示や執行についても制度化しようということなのだろう。
 しかし、担保権者たる信託会社(銀行)が技術力など無形の資産を評価し、これらを管理するには相応の費用がかかる。これを補ってなお有利な条件で借入ができるとすれば、その企業はもともと無担保でも借りられる優良企業か、大企業に限られるのではないか。少なくとも、中小企業の事業承継などには無縁の制度となりそうだ。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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