リスキリングへの公的助成

 企業が従業員を「リスキリング(再教育)」するのに対して、助成金を出す旨岸田首相が表明した(10月13日日経)。日本のリスキリングはOECD平均に比べて遅れているとの調査もある(同日日経)。しかしよくその調査を見ると、大幅に遅れているのは、「機会の柔軟性」と「市場ニーズとの整合性」であって、「学習の対象範囲」はOECD平均に近い。おそらく、いまでも企業は、雑貨屋のように多数の安い(企業にとってコストの低い)研修メニューを並べているのだろう。
 助成のあり方もよくよく考えないと、もともとたいした仕事をしていない中高年に対して「もう仕事はいいから、研修でもやって助成金を稼いでくれ」となりかねない。そうして得た技能は政府の期待と違って、市場ニーズ(DXなど転職するための技術)と整合しないものになってしまうだろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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