SMBC日興証券相場操縦事件

 SMBC日興証券相場操縦事件では、法人が起訴され、担当部門の幹部社員に続いて、副社長も逮捕された。これらをうけて、早々に記者会見で社長が頭を下げたが若干の違和感がある。
 まだ逮捕、起訴されただけで、当事者は相場操縦を否定しているし、裁判所の判断は出ていない。だから現在では推定無罪が働いている。にもかかわらず、社長が先回りして謝罪してしまうのはどうなのか。謝罪の対象は、事件そのものではなく、内部管理全般の甘さについてなのだろう。しかし、事件当事者としてはこれから裁判で争うつもりなのに、会社によって梯子を外された気持ちになるのではないか。社員を守ってくれない会社という気持ちを強く持つだろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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