1株1議決権への疑問

 1株(正確には1単元株)1議決権の原則により、保有株式の多寡で議決権行使の多寡が決まる。議決権行使に制限を設けている他国の例など引用して、これに警鐘を鳴らす上村早稲田大学名誉教授の論考が掲載されている(11月8日日経)。1株1議決権は普通株では例外のない大原則だと思っていたが、これに制限を加える例が他国にあることを初めて知った。
 たしかに、議決権行使をする株主は名義書換基準日そのたった1日株式を保有していればいい。そして、多くのアクティビストファンドはその会社からの短期的利益(株価、配当)を上げることを目標としている。一方会社は、永続的かつ社会的な存在で、自社の短期的利益だけを追求していていいわけではない。とすると、大量かつ短期保有の株主の議決権行使を制限してもよい、あるいはするべきだという議論になるのだろう。賛成するところだ。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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