女性役員ゼロでは済まされない

 2020年7月現在で、女性役員のいない東証一部上場企業の割合は4割を超えていた(5月2日日経)。6月下旬の株主総会で、その割合はだいぶ減少するだろう。機関投資家や議決権行使助言会社がこぞって女性役員の登用を求めており、改善が認められなければ、役員人選議案に反対するとまで言っているからだ。
 持ち合いが減少して、票が読めるのはこうした機関投資家などだけだから、むげにはできない。「形だけ取り繕っても統治強化にはならない」というもっともな意見もあるが、背に腹は代えられない。さらに言えば、企業統治はまずは形式を整えることから始まる。法律が求めるのも形式だ。形式という箱がなければ実質を入れ込むことができないからだ。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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