通帳不発行化
メガバンクを中心に、銀行は個人顧客をネットバンキングに誘導している。それに伴い、紙の通帳の発行を有料化したり、不発行にすると優遇したりしている。もともと通帳もカードも発行しないデジタル銀行も設立されている(1月15日日経)。顧客の利便性向上と銀行の経費削減の両者を実現するために、必然の流れと言える。
ただ、預金者が亡くなった時にはどうなるのだろう。遺産整理の典型的場面では、故人宅を家捜しして、通帳などから預金口座のありかを探していく。紙の痕跡がなく、残されたのはスマホだけ。しかもパスワードはわからない。葬儀後であれば、死者の顔認証も指紋認証もできないだろう。どうやって口座のありかの当たりを付けていくのか想像できない。
だから、特におひとりさまは、紙に口座のありかを残しておく必要があるだろう。遺言ならなお明確だ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2024.06.10
奈良 正哉
おひとり様の死後事務
おひとり様の死後事務委任のニーズが高まっている(5月25日日経参照)。すでにおひとり様はもちろん、…
-
2024.06.07
奈良 正哉
最後のお勤めとして調停員はいかが
先日前職場のOB会に出た。企業年金も分厚い世代だから老後生活としては「勝ち組」の方々か。 第二の…
-
2024.06.04
奈良 正哉
215歳の失踪宣告
相続で一番困るのが相続人の探索だ。相続人が揃わなければ遺産分割ができない。相続人が誰かは戸籍を辿れ…
-
2024.05.13
奈良 正哉
介護職不足
休日の朝7時、近所のご老人の突然の訪問を受けた。 認知症患者が高齢者の7人に1人になるとの試算が…
奈良 正哉のコラム
-
2024.07.16
奈良 正哉
地銀政策保有から純投資へ
地銀では保有株式の保有目的区分を、政策投資から純投資に振り替える動きが盛んだそうだ(7月11日日経…
-
2024.07.12
奈良 正哉
ダイドー株主提案取締役辞任
ダイドーリミテッドの6月の株主総会において、アクティビスト提案で選任された取締役のうち一人が、2週…
-
2024.07.11
奈良 正哉
社外取締役に株式報酬
日立は社外取締役への株式報酬制度を導入する(7月10日日経)。社外取締役はもっぱらディフェンスが仕…
-
2024.07.10
奈良 正哉
旅館で働くアジア人
観光業は未曾有の人手不足のようだ(7月9日日経参照)。そのせいか地方観光地の旅館やホテルに泊まると…