内部通報者の特定
内部通報制度において通報者の保護が重要だが、初動段階では、通報者が特定されないことが特に重要だ。そしてこれが案外難しい。会社の規模が大きければ、通報者はその中に埋没するとも思える。しかし会社の中の一部署、一支社となると、とたんに規模が小さくなる。その中で、部署や支社のトップが通報対象者になっていると、通報者は消去法でわかってしまうことが多い。特定されるまでの疑心暗鬼、特定された後の憎悪により、通報対象者が処分により転属になるまで、職場は真っ暗になってしまう。内部通報を含むコンプライアンスの最高責任者であった上級役員が、自らが通報対象者になっているのを知るや、逆上して、部下に通報者の特定を命じた、という笑えない笑い話も聞いたことがある。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.02.21
奈良 正哉
取締役高齢化
他人のことは言えないが、取締役は高齢化しているそうだ(2月20日日経)。主な理由は、社外取締役への…
-
2025.02.12
奈良 正哉
またインサイダー事件
インサイダー事件は間欠泉のように発覚する。東証社員、金融庁出向中の裁判官に続いて、三井住友信託銀行…
-
2025.02.07
メガバンク職種別採用
メガバンクの決算は絶好調だ。 他方、その採用は伝統的なゼネラリスト志向は大幅に後退して、デジタル…
-
2025.02.06
奈良 正哉
やっぱり日産
ホンダと日産の統合は破談になった(2月6日日経)。統合に向けてリストラが進まないなら「子会社化」と…
奈良 正哉のコラム
-
2025.02.21
奈良 正哉
取締役高齢化
他人のことは言えないが、取締役は高齢化しているそうだ(2月20日日経)。主な理由は、社外取締役への…
-
2025.02.20
奈良 正哉
認知症でも証券投資
認知症になっても、親族が代理人になって証券投資(新規購入)が続けられるようにするそうだ(2月20日…
-
2025.02.19
奈良 正哉
中国人がやってくる
「ニッポン華僑100万人時代」と称して日経はカラー写真付き全面特集記事を掲載している(2月19日か…
-
2025.02.18
奈良 正哉
遺産国庫帰属10年で3倍
相続する人がいなくて、結局国庫に帰属した遺産は10年間で3倍、1,000億円超になったそうだ(2月…