内部通報制度強化

 通報者の保護を手厚くするなど、内部通報に関する法律が改正された(6月29日日経)。内部通報では企業内犯罪(不祥事)の予防はできない。ただ、早期発見による被害の拡大は防止できる。少なくとも顧客など外部から指摘されて初めて発見されるよりよほどいい。経験的には、役員や上級管理職による犯罪行為は、内部通報以外では発見できない。役員等がその業務のプロセスを支配しているからだ。ゴーンのCEOリザーブなどはその最たるものであろう。内部通報があると通報窓口は緊張する。なるべくなら聞きたくない。しかし内部通報がないことに安心してはいけない。ましてや、ないことを内部統制がとれていることの証拠と勘違いしてはいけない。通報方法が使いにくい、通報者保護が十分でない、そもそも制度の存在が周知されていないなど、制度の運用に問題があることの証拠かもしれない。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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