インサイダー規制を緩めても

 金融庁が、企業幹部の株式取引の活性化を狙って、社内の過剰なインサイダー取引規制を緩和するよう要請しているようだ(2月19日日経)。とは言え効果のほどはどうなのだろう。上場企業は上場企業の取引先を多く抱え、そのインサイダー情報になりえる重要情報の有無や、リリースの時期などは個々に把握するのは難しい。仮に把握していたとしても、企業内のコンプライアンス部門に、取引の事前に届け出るのは面倒だし、取引の時機を逸することにもなる。さらにインサイダー取引は、社内規定違反に留まらず、刑事罰だ。とすれば、その懸念のない投資信託などに投資の対象を絞るのは、自己防衛として当然だろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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