高齢者の自宅はいつ売るか。
先週発売の週刊現代に「最後まで自宅を売ってはいけない」という見出しがある。郊外の戸建て住居を売って、小ぶりの駅近マンションに引越す、高齢者施設に入居する、というのが現在のトレンドとも言える。このトレンドに対するアンチテーゼだろう。住み慣れた自宅を売って転居すれば、それまでの地域コミュニティから断絶する、新居の慣れないレイアウトで怪我をする、などが売ってはいけない理由として挙げられている。たしかにそういう側面はあるが、問題はいつが「最後まで」かだ。郊外の戸建ては需要が乏しくなってきているから、先延ばしするほど価格は下がる懸念がある。死んでから手放すのは相続人の負担になるし、共有になって事実上売却できなくなるリスクもある。死ぬ前でも認知症になってしまえば売却契約の能力を失う。「最後まで」持って売るにしても、民事信託などによって、いつでも売却できる準備をしておくのは悪くはないだろう。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…
-
2024.12.16
山田 重則
同性の事実婚状態にある者は社会保険関係の法令上、「配偶者」にあたるか。
遺族年金は、一定の要件を満たす「配偶者」に対し、支払いがなされます。そして、「配偶者」については、「…
-
2024.12.10
奈良 正哉
安楽死法案
英国下院で安楽死法案が通った(11月30日日経)。本人が寿命を人為的に短くすることを認める。 日…
-
2024.09.12
奈良 正哉
相続には信託
相続預金のつなぎ止めのために、地域金融機関が本体による信託ビジネス参入を図る動きが見える。人間が絶…
奈良 正哉のコラム
-
2025.01.22
奈良 正哉
フジスキャンダル
中居スキャンダルはフジスキャンダルに発展している。同氏と女性の間のトラブルへの社員による関与疑惑に…
-
2025.01.21
奈良 正哉
トランプ大統領就任
トランプ新大統領の就任演説を聞いていると、つくづく日本人が嫌いそうな人だなと思う。半面アメリカ人有…
-
2025.01.20
奈良 正哉
固定資産税還付訴訟
払い過ぎた固定資産税を返してくれ、という訴訟の弁論が17日最高裁で行われた。対象の固定資産は複雑な…
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…