【印紙税】「契約書」という要件について教えてください。
以下の課税文書については、「契約書」であることがその要件となっています。
・第1号文書(不動産の譲渡等関する契約書)
・第2号文書(請負に関する契約書)
・第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)
・第12号文書(信託行為に関する契約書)
・第13号文書(債務の保証に関する契約書)
・第14号文書(金銭又は有価証券の寄託に関する契約書)
・第15号文書(債権譲渡又は債務引受けに関する契約書)
そして、印紙税法課税物件表の適用に関する通則5は、どのような文書が「契約書」に含まれるのか言及しています。
通則5の要旨は以下の通りです。
①契約書かどうかは名称ではなく内容で判断する。
文書の表題が「契約書」かどうかで判断するのではなく、その文書が契約当事者の意思表示の合致を証明する目的で作成された文書かどうかで判断します。
②契約には予約も含まれる。
将来、契約を成立させることを約すること(=予約)を証明する目的で作成された文書についても「契約書」に当たります。
③契約の成立以外の事実を証明する文書も「契約書」になる。
契約の更改(既存の債務を消滅させて新たな債務を成立させること)、契約の内容の変更(既に成立している契約の同一性を失わせないでその内容を変更すること)、契約の内容の補充(原契約の内容として欠けている事項を補充すること)の事実を証明する目的で作成された文書も「契約書」に当たります。契約当初に作成した契約書に印紙を貼れば足りるわけではないという点には注意が必要です。
④一方当事者の作成する文書も「契約書」になる。
契約当事者の一方が作成する文書も「契約書」にあたります。実務上、非常に誤りが多いため、別のQで詳しく解説します。
⑤署名がなくても「契約書」になる。
署名は「契約書」に当たるための必須の要件ではありません。
このように、「契約書」というと、通常は、「〇〇契約書」という表題で、契約両当事者の署名、押印の揃った文書を思い浮かべてしまいますが、印紙税法上は、より広い範囲の文書が「契約書」に当たるため、予想もしていなかったような文書が「契約書」として課税されることが起こります。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 山田重則
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