税理士はかわいそう
「税理士ミス訴え頻発(12月10日日経)」にあるように、税理士が顧客から訴えられて損害を賠償する保険の支払も急増しているようだ。記事中に解説があるが、私見では税制が難しすぎて、かつ改正が頻繁すぎて、税理士の知識がついていけないことに根本的な原因があるのではないか。その象徴が事業承継税制およびその特例である。条文を読んだだけでは絶対にわからない。解説書を読んでも今一つわからない。プロの解説を聞いてもわかったような気にしかならない。とても顧客に勧められない。という代物ではないか。税制には背骨がない。時々の経済政策、産業政策で次々と改正されたり、特例が出来たりする。それを高齢化が進む税理士が一人でフォローするのは無理ではないか。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.04.10
橋本 浩史
有限責任事業組合の組合員に対する課税関係が問題となった事例 ~東京地裁令和6年2月16日判決TAINS Z888-2712(確定)~
1 はじめに 有限責任事業組合(LLP)とは、構成員全員が無限責任を負う民法組合の特例として、「有…
-
2025.03.17
橋本 浩史
M&Aに係るデューデリジェンス費用が有価証券の取得価額に含まれるか否かが争われた事例 ~国税不服審判所令和6年1月24日裁決~
1 はじめに 株式取得などによるM&Aにおいて、買収側が対象企業の価値やリスク等を事前に調査するこ…
-
2025.02.14
橋本 浩史
所得税法72条1項の「損失」の意義が争われた税務判決 ~東京地裁令和6年1月23日判決~
1 はじめに 所得税法72条は雑損控除を定めた規定であり、同条1項は、居住者又はその者と生計を一にす…
-
2025.01.20
奈良 正哉
固定資産税還付訴訟
払い過ぎた固定資産税を返してくれ、という訴訟の弁論が17日最高裁で行われた。対象の固定資産は複雑な…
奈良 正哉のコラム
-
2025.04.07
奈良 正哉
株式投資の理由
株価の暴落が止まらない。今株式投資をする「よすが」は、配当ということになろうか。大手優良企業でも、…
-
2025.04.04
奈良 正哉
アメリカ時代の終わり?
トランプ関税のおかげで世界中の株価が暴落している。アメリカ経済への打撃はもちろん、隣国や欧州から特…
-
2025.04.02
奈良 正哉
旧統一教会に解散命令
先日旧統一教会に解散命令が出た。私が同教会の存在を知ったのは50年も前のことだ。特異な勧誘方法で、…
-
2025.04.01
奈良 正哉
フジHD第三者委員会公表
昨日、フジテレビはゴールデンアワーを使って第三者委員会の調査報告書を公表していた。テレビの好きな人…