監査法人の人手不足

 「監査法人、人手不足が深刻(12月8日日経)」である。大手監査法人の現パートナー、元パートナーとこの話になったとき、「こんな記事を書かせたのは誰だ。金融庁か。」「こんな記事が出るとますます若手が採れなくなる。」という反応であった。特に東芝事件以降会計士の執務環境は苛烈になっているようだ。おまけに、法人内でパートナーになる門も狭くなって、見切りをつけた若手が辞めていくようだ。辞めて企業に行くことに加えて、常勤を辞めて非常勤で仕事をするケースもあるようだ。出世はないが、責任と仕事量はずっと減少する。非常勤だけでも十分食べていけるそうだ。それだけ人手不足が深刻なのだろう。企業も監査報酬を「コスト」とだけ見ていることが多く、なかなか監査法人の報酬も上がらない。会社経営の最終チェッカーの品質が劣化すると、社会全体の問題になる。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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