個客のほうがよく知っている民事信託
高齢資産家の財産保護や相続の前倒しの趣旨で、民事信託(家族信託)の相談が増加している印象を受ける。金融機関、他士業など相談案件の紹介者は色々だが、顧客に会うと顧客の方が信託をよく知っていると思われる場面も多い。新聞・雑誌・テレビなどで取り上げられることが多くなったせいもあろう。 件数についても例えば地域金融機関でも結構な数があるのだから、潜在的ニーズとしては大手金融機関ではもっとあると思われる。しかし実際はそうでもない。顧客から相談を受けたときに、本能的に自分が知っている遺言などのプロダクトに誘導してしまうのだろう。信託は難しいが、金融マンも士業者も少し勉強した方がいい。そしてなんでも自前主義で自社プロダクトの提供だけをするのではなく、広くプロに支援を要請して、顧客にとって一番いいサービスの提供を心掛けたほうが、結局個客の信頼を得られることになると思われる。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2024.09.12
奈良 正哉
相続には信託
相続預金のつなぎ止めのために、地域金融機関が本体による信託ビジネス参入を図る動きが見える。人間が絶…
-
2024.09.03
奈良 正哉
戸籍謄本の電子取得
戸籍謄本が電子手続きで取得できるようになるようだ(8月22日日経)。戸籍制度は日本とその影響下にあ…
-
2024.07.31
奈良 正哉
超高級老人ホーム
三井不動産は、入居金最高額5億円を超える超高級老人ホームを運営する(7月30日日経)。「問い合わせ…
-
2024.07.29
奈良 正哉
減らない高齢者の金融資産
高齢者の金融資産は60-65歳の平均で1,800万円。これが85歳でもその減少幅は1割台だそうだ(…
奈良 正哉のコラム
-
2024.11.21
奈良 正哉
新築マンション価格高騰
10月の新築マンション価格は、首都圏で9,239万円、東京23区に限れば1億2,940万円だそうだ…
-
2024.11.20
奈良 正哉
オワコンメディア
大接戦のはずがトランプ大勝。後半追い上げのはずが斎藤大勝。メディアの偏向報道が非難されている。他方…
-
2024.11.15
奈良 正哉
指名委員会は本物に
法定の他に任意の設置も含めて、指名委員会は機能しているようだ。社長後継者の選定議論を行っている割合…
-
2024.11.14
奈良 正哉
KADOKAWAフリーランスいじめの正当化
フリーランスをいじめても担当者の個人的な利益はない。むしろいやな気持で対応してきたのだろう。「悪い…