野村証券の失態
野村証券は、株主総会直前になって委員会委員長候補者を変更した(6月19日日経)。賛否の票読みを間違えた失態といえるだろう。ただ同社はまだましなほうで、賛否に確信が持てないまま株主総会に臨み、結果会社提案が否決されるケースが出てくるのではないか。主要株主が、物言わぬ持合企業から議案賛否の基準に従う内外の機関投資家に移り、株価と配当にだけ興味のある個人株主の影も薄くなってきた。全体として会社提案を可決するハードルは高くなっている。入退場から始まる総会儀礼の練習と、総会屋対策のみの、直前付け焼刃的総会対策はもはや不要であり、経営戦略と企業統治にとって、議案がいかに有益であることをストレートに問う、時間をかけた腰の入った対策が必要になるのだろう。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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