株主総会反対票

 3月開催の株主総会では、50%台の賛成に留まった議案もあったようだ(4月14日日経参照)。6月の株主総会本番シーズンになれば、会社提案が否決されてしまうケースも出てくるかもしれない。機関投資家が、社外取締役の独立性などの基準を厳格に運用しているからだと思われる。機関投資家は内外の多数の企業に投資をしている。インデックス運用をしている大手機関投資家ならその数はさらに増える。だから、すべての会社の議案、例えば取締役候補者の人となりを、個別に評価・判断することは事実上できない。したがって、形式的な基準(資本関係、取引関係の有無等)でばっさり切っているのが実態であろう。だから形式基準を満たさない議案を提出したい企業は、それがその企業の戦略に不可欠な人選であることなどを、具体的にかつ時間をかけて機関投資家と対話することが必要だろう。丁寧な企業は前回総会が終わった直後からそうしたことをやっているとも聞く。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

関連するコラム

奈良 正哉のコラム

一覧へ