事業承継はまず誰に相談するのか
事業承継のセミナーが多数開催され、いずれも多数の聴講者で賑わっている。経営者にとってはそれだけ喫緊の課題であり、聴講者の多数を占める税理士にとっても、知識の習得が急がれる分野なのだろう。では、経営者は誰に真先に事業承継の手法や後継者問題などを相談するべきか。筆者は銀行だと考える。そして銀行を通じて士業その他にアプローチするのがいいと思われる。銀行の地位はずいぶんと落ちてしまった感があるが、それでも中小企業の殺生与奪権を持っている場合が多いだろう。例えば事業承継税制特例要件の一つである事業承継計画自体は、ふんわりした主観的作文ですむのだろうが、本来は資金的な裏付けのある定量的な計画が必要なのは言うまでもない。後継者の育成にも銀行が関与してくれたら言うことはない。その後の特例要件の維持が危ぶまれた場合、士業やコンサルタントは救いの手を差し伸べることはできないが、銀行はそれができる。銀行側も頼りになる士業と上手に連携していく柔軟性が必要だ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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