本当の株主総会対策
今年の日産の株主総会は荒れるだろう。他企業もとばっちりを受けるかもしれない。特に問題視されるのが、役員の選解任と役員報酬、その延長上にある役員退職慰労金の支払いだろう。役員報酬の額については個人株主は気焔をあげるかもしれないが、決議自体には関係がない。決議に影響を与えうる機関投資家は、額ではなくて、決め方や開示について問題意識を持っているだろう。役員退職慰労金については、機関投資家はほぼ反対の方向が出ている。機関投資家は株主総会での議決権行使については、「スチュワードシップ責任」を果たすことが求められる。個別に賛否を開示する方向もはっきりしている。機関投資家も真剣勝負だ。企業にとって、総会屋対策としての株主総会対策は遺物となり、企業統治のあり方そのものが株主総会対策となるのだろう。だから、総会直前の付け焼刃では対策にならないことを自覚している企業は、前年の総会直後から、機関投資家との会話を始めるところもあるようだ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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