梅原猛さん

 梅原猛さんが亡くなった。筆者は梅原さんの膨大な著作の端っこをかじっただけだが、中学の特別授業を収録した「梅原猛の授業―仏教」や、京セラの稲森和夫さんとの共著の印象が深い。前者は分かりやすく仏教の本質を伝えるもので、宮沢賢治について触れた部分によって宮沢へのイメージが変わった。後者においては、大経営者というものは宗教心が必要だという認識を強く持った。スティーブ・ジョブスも禅者であった。梅原さんは日本史家・宗教研究者とされるが、なにより仏教の信者であり、その布教者であったように思う。お坊さんが宗教家としての活動をほとんどやらないため、仏教ないしお寺業の衰退が言われて久しいが、そんな中、梅原さんは強力な布教者であったと思う。仏教界にとって損失は大きいだろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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